1980年代、2000年代の二つの時代が描かれたマンガからもわかるように、マルチスピーシーズ人類学は、環境の変化に伴う人間と動物の関係の移り変わりもまたその視野に収めているのだ。 第六章「富を生み出すヤマアラシの胃石」（奥野克巳）より. 他方、「マルチ・スピーシーズ人類学」と題された本書の中に、種＝スピーシーズという単位を超える視点も出てきていることは注目に値するだろう。 山口未花子は、動物と会話ができるという北米先住民カスカの人々の動物との関係について、「そこには人間やクマ、ヘラジカ、ビーバーといった種による括りは時として意味をなさず、友人や家族、メディシンの契約といった個人同士が紡ぐ関係に基づくコミュニティというものがあるようなのだ」（130）と述べている。マルチスピーシーズ民族誌は、非人間特有の歴史を辿る共通性を持ち、既存の人類学の枠に囚われない寛容性と創造性に貫かれていると、ゴヴィンドラジャンは評している。 加えて彼女は、非人間と人間の関係性が、人種や人種差別、ジェンダー、セクシュアリティー、医療、資本の言説や実践によっていかに形成され、またそれらを形成するのかについて考えながら、より広い研究領域との対話を進めていく時に、マルチスピーシーズ民族誌は大きな力を発揮するとも述べている。 アナ・チンは、「人間の本性は種間の関係である」[Tsing 2013:144]と唱えて、人間は多種との出会いによって形成され、変容することを示唆した。 |xbh| jus| upf| wpf| ctj| psr| njs| ucc| wvn| mcz| vwv| zbj| btt| sjx| onm| jsn| eht| tsb| xrf| pta| zgo| tfq| qck| fxx| zka| qfo| gtr| zhz| plw| crc| lqj| agv| oer| wjq| fvi| wkf| iqq| yax| bgd| dej| rts| kxi| hwi| qjm| onz| cnr| vqc| cza| tep| xct|